ジェームズ・W・ヤング氏の言葉「アイデアは既存の要素の新しい組み合せ以外の何物でもない」といいますが、つくづくそう思います。
こちらの箱型のイラストは過去の打合せの際に描いた資料で、ジュエリーのアイデアを検討したり、デザインを整理する際にたびたび眺めます。
イラストの詳細については説明を割愛しますが、あるひとつのコンセプトが思い浮かんだ場合、例えばそれがリングであれば、同じアイデアをペンダントやピアスに展開できないかなどを考えます。
また、馬鹿できないのが別のコンセプトと組み合わせた時に生まれる新たなコンセプト。多くの方に共感を得た実績のあるコンセプト同士を組み合わせて設計したジュエリーは、デザインが全く変わったものになったとしてもコンセプト自体に共感を得る要素がひそんでいるため、リピーターの方にも飽きて頂くことなく継続してヒットしやすい傾向にあります。
目の前のお客様とお話しする際には、新作を開発するに至った経緯や、作品化するにあたって苦労したことなどをお話させて頂くことが多いのですが、こういった教科書的かつ基本的な考え方を元に頭の中を整理しておりますので、どの様な角度からも瞬時にご説明させて頂くことが可能です。
よくある相談としては、ダイヤではなく他の石で作ることはできないのか、プラチナではなく18金のイエローゴールドで作れないのか、などが挙げられます。
結果としてダイヤモンドのジュエリーしか作品化していなかったとしても、設計の際にはこちらのイラストのようにあらゆる選択肢を検討しますし、石のバイヤーでもあり、デザイナーでもあり、作り手でもある私としては、その場で瞬時にお見積もりをはじき出すことが可能です。
できる限りリーズナブルな価格で入手したいお客様のご要望に応えるべく、デザインと加工のテクニックを駆使してほどよい着地点を提示するよういつも努めており、そのためのシミュレーションは毎日欠かしませんし、頭の中はいつもジュエリーのことで一杯です。
そんな毎日が楽しい一方で、危機感に襲われる毎日を過ごしていることには変わりなく、いつの日か頭の中からアイデアが湧き出てこなければどうしようという焦燥感と戦っていることも事実。
アイデアが煮詰まった時にこそ、基本に立ち返るべく冒頭の箱型イラストを眺めながら、冷静に頭を整理する時間を設けます。経営コンサルタント時代に体に刷り込まれた「モレなく、ダブりなく、ロジカルに整理する基本姿勢」のおかげで、右脳と左脳を柔軟に使いこなすことができているのかなと。
論理的に物事を整理することを無意識にできてしまう。そんな思考回路を習得させてくれたコンサルタント時代の経験はとても大きな財産で、会社に属している時には全く気付きませんでしたが、卒業して事業を営むようになってからは十二分にその有り難みを感じております。
そんなこんなで、脳ミソに汗をかく楽しい日々は続きます。